野生のウ○コ、いやとぐろを巻くヘビである。
日本には多くのヘビが生息しているが、基本的には毒性がないナメラ属のヘビが多い。
ただマムシやハブなど危険なヘビもいるため十分な注意が必要だ。
うちの本家がある石川県の能登では昔、マムシに噛まれたら毒が回らないように、噛まれた部位の肉をえぐる応急措置が普通だったようで、
親父が子供の頃は顔に肉をえぐった跡がある老人がちょいちょいいたそうだ。
痛そうだ。
自然の少ない都市部でもヒバカリは希にみられる。ミミズをエサに出来るため生息地を広げ易いのだろう。
噛まれたらその日ばかりの命ということからヒバカリの名前がついたとも言われるが、毒性はない。
ヒバカリは基本的にカエルやオタマジャクシを好み、水深の浅い水辺なら器用に泳いでオタマジャクシを捕らえる。
ヒバカリの尾を持ち、オタマジャクシの入った水槽に近づけるとヒバカリが水中のオタマジャクシを捕まえるので、ヒバカリのオタマジャクシ釣りを楽しむことができる。
東京生まれヒップホップ育ちの俺が初めて捕まえたヘビもヒバカリだった。
小学校2年生の頃、近所の公園でドレッドの黒人女性2人が水飲み機のところで何かをしていた。
その近くの森をひと通り回り、10分後くらいに戻ってくると黒人女性はいなくなり、代わりに脇腹が傷ついたヒバカリがそこにいたのだ。
思い出すと頭の中でSOUL’d OUTのVOODOO KINGDOMが流れてそれ以上思い出せない。
それから2000年後のある日、俺は歩いていたら並走してきたシマヘビを捕まえた。
シマヘビは名前の通りシマがあることが多い赤い目が特徴のヘビである。
長大なヘビでかなりの長さに達する。
馴れ馴れしく並走してきたわりには何度も噛みついてきた、肉を噛みちぎる力はないがあごの力はかなり強く、噛まれた場所からは血が出る。
屠龍刀で捌き晩飯にすることとした。
屠龍刀を手にした者は武林を制覇し、天下に号令することが出来ると言われている。
シマヘビはヘビの中でも一番美味いともされるヘビで肉質はブリンブリンでかなり良い。
ただ、長さがあるため捌くのがやや面倒、長さはあるが肉は薄いためそれほど肉の量はないなどあえて食糧とするほどのものでもない。
肉量の問題から食糧としては微妙だが、一番美味いといわれているだけあり食用としてはかなり味が良い。
強い弾力があるが硬くない旨味の強い地鶏肉といったところだ。
鶏の愛好家だが鶏肉が好き、ただ鶏を殺すのには心が痛む。そんな人には鶏肉の代用として十分以上の価値があるかもしれない。
ケンタッキーフライドヘビがあっても良い。
ただ、レバーは味が強いので肉とは別で味の濃い料理にするのが良いだろう。
シマヘビの皮は、コナラの枝を煮出した渋い汁を更に煮詰めた激渋な汁に一週間漬け込んで、段ボールにピン留めして干した。
いわゆるタンニン鞣しのようなものだ、こうすることにより皮から革に変化する。
革は薄く、鱗も薄いが、シマヘビの革はかなり丈夫で強い。ただやはり細いためそれほどの量は出来ない。
きちんと強度を考えて1匹から作れる革製品は、ジッポーケースが関の山だ。
実はシマヘビを捕らえた日、帰りに階段を降りている途中に階段脇の林でもう1匹ヘビを見つけ、捕まえていた。
これは噛まず、むしろ口を断固として開けない意志が感じられた。
革にしても綺麗だろうし、シマヘビよりムチムチ感があって美味そうだ。
結局、しばらく食うか食わないか考えてるうちに2ヶ月経ち、冬になってしまったので冬眠準備も出来てないやつを野生に帰すのも可哀想で飼育することにした。
それがこのウドンと名付けられし伝説のジムグリである。
ジムグリは意味がわからんほど偏食なヘビで、ネズミやモグラの子供しか食べないという。
実際はじめはカエルをいれていたが、カエルは2ヶ月生存し餓死した。
そこで、ペットショップでエサ用に販売されているピンクマウスを購入し、与えてみた。
すると、手からでも口を開きエサを食うようになった。やはりネズミの子なら食うということなのだろう。
ただ冷えているとマウスを食わないので、湯煎で温めてやるとよく食べた。
1日3~5匹で、1匹食べたらすかさずもう1匹をというように連続で与えないと1匹しか食わなかったりする。
2月~4月まで絶食したが、その後は普通に食べるようになった。
5月、例年より早くヤマドリタケモドキが出たという話があったため、ついでにウドンを故郷に帰してきた。
約半年観察しながら飼育したが、温かい季節に元々育った土地に帰れば自分でやっていけるだろう。
バイバイ、ウドン