原宿ではここ十数年の間にタピオカドリンクのショップが無駄に増え、タピオカドリンクは日本の女子高生を育成するために必須な物と化している。
タピオカと言えばユカ芋、つまりキャッサバからとれるデンプンを丸めて固めて加熱したもので、知っての通り硬めなプリプリした食感が特徴的だ。
キャッサバには苦味があり、毒を抜かないと食用にならないタイプと、毒がない甘味種が存在するが、
日本では甘味種以外はほぼ手に入らないので、タピオカの栽培を始めたいJKは毒抜きの心配はしなくていい。
出来れば甘味種と記載された苗を買うのが良いだろう。
とはいえ作物ではあるのでそれなりの困難を伴う。
キャッサバはハダニに弱いのだ。
ハダニは葉を食べる小さく赤いダニで、トマトやナスで大きな被害がある。1匹でも残れば無限増殖するので無農薬での防除は困難である。
小規模であれば、ヤシの油でハダニを窒息死させるアーリーセーフという薬を利用するといい。
薬というが、ただのヤシの油で気管を塞ぎ物理的に窒息させるものなので農薬のような有効成分は含まない。
規模が大きいか、無農薬にこだわらない場合はアーリーセーフで数を減らした数日後にダニ太郎やコロマイトを利用すると良いだろう。
収穫出来たキャッサバは皮を剥き、ミキサーなどで粉砕したら水を加えて搾るとよい。
ここで一つ注意があるとしたら、キャッサバの場合、タピオカデンプンをとるのはついでであり搾りカスの方に価値があるので
搾りカスは捨ててはならない。
とりあえず搾ったキャッサバ汁はしばらく置いておくとデンプンが底にたまるので、水を捨てて新しい水を加えて更に撹拌し、デンプンを沈殿させる。
毎日この作業を行い、デンプンが真っ白になったら乾燥させる。
乾燥が不充分だとカビるので、カチカチに乾燥してから更に二週間乾燥させると良いだろう。
乾燥が終わったら晴れが3日続いた日にミキサーで粉砕し、シリカゲルなどの食品用乾燥剤と共に袋に詰めると良いだろう。
女子高生でここまで出来たらあとは何でもできる。
タピオカ粉と小麦粉を利用したポン・デ・ケージョという料理があるが、それを輪っかに繋げたらポン・デ・リングだ。
タピオカ粉を作れるJKならポン・デ・リングも作れる。
カラメルで着色すれば茶色いタピオカも作れるし、タピオカのサイズも自由自在だ。
1メートルのタピオカとか見てみたい。
綺麗に丸く作る方法は知らんので、それはググってくれ。
俺は面倒なのでデカいタピオカを作って包丁で刻んだ。
そしてタピオカドリンクは専用ストローがないとただタピオカが沈んでるだけの飲み物なのでストローを忘れてはいけない。
搾りカスは炒めるとファリー二ャという味気ない調味料になる。
ファリー二ャは特に味気はないが現地の人は何を食べるにもファリー二ャと共に食べるそうだ。
ぶっちゃけ砂糖とドライパパイヤを加えて食べた方が美味い。
なんでキノコの培養の話しをしようとしているのにタピオカの話しをしているか分からないかもしれないが、タピオカはキャッサバのデンプンであることを思い出してほしい。
そして女子高生の好物だ。
女子高生が育つならキノコも育つだろ。
デンプンは分解されると糖になることはお米を噛んでいると分かると思うが、
ハラタケなどの仲間のキノコが分解する落ち葉などのセルロースも、デンプンより複雑だが分解されれば糖になる。
シイタケやエノキタケ、マイタケなど人に栽培されるキノコが分解する木も、セルロースより更に複雑だが分解されれば糖になるリグニンという物で出来ている。
つまりリグニンやセルロースを分解出来る菌はより簡単に分解出来るデンプンを利用することが可能なのだ。
つまりデンプンそのものであるタピオカでキノコが培養出来るということ。
ただ、リグニンを分解出来るからセルロースを分解出来るわけではなく、リグニンを分解するがセルロースの分解も得意なヒラタケのようなタイプや、リグニンも分解するがセルロースの方が得意なムラサキシメジのようなタイプもある。
ヒラタケは画像のように丸めた段ボールにガムテープを巻いた人工原木で栽培可能である。
画像では分かりにくいがムラサキシメジはほんのり菌糸がムラサキなのも面白い。
ヒラタケやエリンギは、段ボールを霧吹きで表面だけほんのり湿らせて刻み、そこにキノコを刻んで混ぜ込めば種菌がとれる。
雑菌もほとんど湧くことがないが、水分が多すぎたり段ボールの分解が苦手な個体であれば、トリコデルマなどの緑色の雑菌が湧く。
まぁだから段ボールでやるときは始めは水分はほどほどに、そして成長してキノコが出そうになったら初めて十分な水をやると良い。
栽培が不可能とされるキノコでも培養は可能である。
画像はポルチーニだが、菌根菌であるため従来は木と共生させないと栽培は不可能とされていた。
だが菌根菌が必要とする栄養分は糖分かデンプンであり、ポルチーニやホンシメジはデンプンから利用出来る。
ただ、松茸やトリュフなど木への依存が高い菌根菌は糖分そのものがないと生育が悪い。
そして画像のように寒天培地だと菌糸は培地の表面にしか伸びないため、スペースが足りなくて十分な菌糸が成長しない。
ホクトがポルチーニの培養に成功していたが、たしか液体の培地にデンプンを加えて、キノコが液体に倒れないように培地の上にカゴをつけて栽培していた。
だがタピオカならどうだろう?
タピオカは液体ではないためカゴを取り付ける必要性がない。
そして、キャッサバのデンプンそのものなのでデンプンを加える必要性もない。
更にはビタミンやミネラル、糖などを加えたければタピオカを茹でる汁に加えればタピオカは吸収してくれる。
寒天とは異なり粒状なので隙間に菌糸が入り込み生育できるのも良い点だ。
つまりタピオカ最強じゃね?ってこと。
女子高生が育つならポルチーニも育つだろ。
ということでイナウディ社のイタリア産ドライポルチーニの中からヒダがオリーブ色に熟したポルチーニを選んで、ヒダから培養した。
つまり胞子を発芽させたポルチーニということだ。
ポルチーニは肉からも菌糸が出るが、肉から菌糸を伸ばさないコウタケなどもタピオカで胞子が発芽する。
ホクトの人がタピオカ栽培について気になったら、TwitterにでもDMくれたら教えるかも。
ただ、胞子を発芽させる場合、完全に殺菌するとキノコの胞子も死んでしまうため、ほどほどにするのでケカビやクモノスカビが出る。
ただ、カビが出たらキノコの菌糸だけをピンセットでつまんで新しい培地に移せば良いのだ。
だいたい4~5回繰り返せば純粋にキノコの菌糸だけになる。
まだ発生には至っていないが、キノコの源基までは出来ている。発生には光や温度、成分など何かしらが足りないのだろう。
このようにキノコは培養が出来ても発生条件を満たさないとキノコが出ない、例えば松茸は培養は出来ているが発生条件が不明なため栽培には至っていないのだ。
これはイタリア、アルバ産白トリュフの成長を並べた物だ。
タピオカの周りに突起が出来て、それが成長して茶色く固そうな感じになっていくのがわかる。
恐らくこれが菌核のようなもので、
上部に出来た突起が白トリュフになっていくのだろう。
というかもはやこの時点で少しトリュフの香りがするので、小さいトリュフが出来ているのかもしれない。
ただこれは培地が少なすぎるので、これを種菌として拡大培養中である。
キノコ探し初心者の人々が躍起になって探す国産の野生トリュフであるイボセイヨウショウロはこんな感じだ。
何かしらの栄養分が足りなかったのか菌の相性か分からないが菌糸が薄い。
ただ、上部にキノコの源基とみられる粒が出来ているのは興味深くないか?
みんな10月に探すが、実はイボセイヨウショウロは7月から完熟が見つかる。
ただ夏のイボセイヨウショウロは小さく、秋のイボセイヨウショウロは大きいので
春に生育を始めて大きくなれないものは夏に熟してしまい、大きくなるものは秋に熟す、そして冬は休眠。
このようなライフサイクルなのだろう、つまり春にはもうキノコをつくりはじめて完熟に夏か秋までかかるというわけだ。
これは種菌にしようとしていたシイタケだが、特に温度などを変化させずとも発生してしまった。
品種もののキノコの拡大培養は禁止されているため、野生のちっこいシイタケを利用した。
ただ、販売等がない自家利用であれば現在は拡大培養しても問題ないらしい。
種菌用培地なので小さいが、かなり香りの強いシイタケだった。
タピオカシイタケは元々、キノコを培養したタピオカを種菌として原木栽培出来るか?の実験用であり、現在実験中だ。
一応成長してるからイケる気がする。
つまりシイタケのタピ駒原木栽培。
調子に乗って20kgくらいの丸太にもタピ駒シイタケを打ち込んだがどうなるだろうか。笑
成功すれば野生のシイタケを個人で培養して原木栽培まで持っていくマニュアルでも書こうか。
エノキタケはシイタケよりも小さい培地でも発生してしまうので、細長い容器ではなく平たい容器で面積を広くして発生させるのが良いかもしれない。
ただ、食べごたえないし、沢山とらないと収穫が少ないからエノキタケはあんまり培養する気にならない。
その辺の公園にも生えているので、野生キノコからのタピオカ培養の練習には良いのではないだろうか?
まぁ、11~3月までしか発生しないけど。
松茸を凌ぎ日本で最も高価であるというキノコ”コウタケ “
コウタケは前述したとおり菌糸がキノコから再生出来ないので、ヒダに含まれる胞子を発芽させなくてはならない。
ただ、コウタケはヒダが細かい毛なので雑菌の殺菌は十分にはできない。
試す人は多くのキノコを培養し、雑菌とキノコの菌糸の見分けがつくようになってから挑戦すると良いだろう。
キノコの菌糸(これはコウタケ)はこのようにどんな種類も放射状に生育する。
カビは縦横無尽に長い菌糸が伸びるケカビ、短い真っ直ぐな菌糸に黒い粒がつくクモノスカビ、粉のような白い菌糸がやがて緑色になるペニシリウム、雲のような菌糸が粒状に広まってから緑色になるトリコデルマなどが発生する。
これもコウタケだが、数本ケカビが混じって見えるのが分かるだろうか?
キノコの菌糸はだいたい1~2日で発生するが、ケカビはだいたい4、5日ほどで発生するので、6日発生しなければ安心して良い。
発生したらキノコの菌糸だけをつまみ、新しい培地に移せば分離できる。
ケカビを3日放置するとこうなる。
見つけたら即分離できるように予備のタピオカを持っておくと良いだろう。
粉のような白い菌糸がやがて緑色になる。これは恐らくペニシリウムの仲間だ。
ペニシリウムはペニシリンで他の菌を駆逐しながら生育するので、キノコの菌糸が負けやすい。
ただ、松茸くらいからしかでない。
これはトリコデルマである。雲のような菌糸がやがて粒状になり、緑色の胞子を出す。
ペニシリウムが青カビと呼ばれるのに対してトリコデルマは緑カビ、もしくは土青カビなどと呼ばれる。
クワガタの飼育で菌糸ビンを使う人にはお馴染みだろう。
キノコの足部分にいるので、タピオカ培養の場合にはキノコの殺菌が不充分なときに出やすい。
キノコの菌糸がついたタピオカの色がカフェオレ色に色が薄まる場合があるが、キノコの菌糸がついてないときになる場合がある。
この場合は菌糸を伸ばさないタイプの雑菌であり、だいたいは熱に強い納豆菌だ。
ただ、納豆菌でもアルコールや塩素で殺菌されるため、タピオカを茹でる鍋や、タピオカをすくう穴あきレードル、そしてビンやピンセットなどはアルコールと次亜塩素酸水で殺菌してから利用すると良いだろう。
コウタケはかなり成長が早く、菌糸が強いので培養は楽だ。
そもそも発生の研究はまだしていないが、だいたい10月のはじめあたりの気温にすれば出てきそうな気がする。
キンモクセイの花が咲いたら発生するとも言われるが、うちにはギンモクセイしかない、しかも四季咲きだ。
原木シイタケの栽培しかしたことがない自称シイタケ農家は、シイタケの菌糸は茶色くなるはずだ!とこれみよがしに指摘してくるが、
安心しろ、画像の通り褐色化する。
シイタケの菌糸は光がないと褐色化しないから暗黒下だと褐色にはならない、でも褐色化してなくても暗黒下でもキノコは発生する。
菌床栽培やる人なら当たり前の知識だと思うけど。
そういえばどっかの誰かがアミガサタケの菌糸は茶色くなるとツイートしてたのを見たが
実際やってみたら白かった。
そしてアミガサタケがシャーレから発生したという画像を見ても菌糸は白い。
何が正しいか分からないが、シャーレで発生するならタピオカのビンでも発生するだろう。
しばらくお楽しみですね。
まぁ、要約してしまえばタピオカでJKが育つならキノコも育つということですよ。