マメな男はモテるからおせち料理の煮豆食べなさい。
男なら誰しもおばあちゃんに言われたことがあるだろう。
俺もちょいちょいハツエに言われた。
ハツエなのに「私のことはしずか先生と呼びなさい。」とか言ってくる意味不明な生命体だ。
2000年くらい会ってないからまだ生きてるか知らんけど。
煮豆といえば丹波黒豆だ、やたらデカいが日本にも存在する野生のダイズ“ツルマメ”も黒豆である、ただやたら小さい。丹波黒豆と比べると500円玉とBB弾くらい違いがある。
普通のダイズと比べても小さい、ボブ・サップときゃりーぱみゅぱみゅくらい差がある。
ダイズには短日性と呼ばれる性質があり、日が短くならないと花芽がつかないか花芽がついても結実しない特性がある。
極早生、早生などと呼ばれるダイズはこの性質を取り除いた品種のこと。
当然野生種のツルマメには短日性がある、そのためだだちゃ豆と同じで晩生なので秋に実がつくのだ。
在来ダイズには完熟するとサヤが爆裂して豆が飛び散る性質があるものがあるが野生種のツルマメも同様で、こうした品種はツルマメと交雑した時期があったのかもしれない。
ツルマメに少し似た豆をつけ、同じようにサヤが弾けるものがもう一つある。
それがアズキの野生種ヤブツルアズキだ。味は超美味いアズキだが小さい。
小豆と書いてアズキなのは元々この小ささが由来かもしれないと一瞬思ったが、ツルマメと大して変わらない。
アズキの味の野生のアズキなので利用はアズキ同様でなんの問題もない。
むしろ普通のアズキより美味い。
ツルマメも大豆と味は変わらない。
野生豆の中ではツルマメとヤブツルアズキの知名度が高いが、それ以上にやたらと至るところで見られるヤブマメというマメがある。
この画像を見て何か気付くことは無いだろうか?
俺の手相が良すぎる。
じゃなくて
このマメはどちらかが栽培種でどちらかが野生種というわけではなくどちらもヤブマメである。
緑色のサヤになる小さい豆は地上につく豆で、白くて大きい方は地下につくマメである。
海外ではホグピーナッツとも呼ばれ利用されるようだ。
海外で利用されていて日本で利用されていないかといえばそんなことはない。
アイヌではアハと呼ばれ重要な食糧のひとつだったという。
よってヤブマメの地下マメのことはアハ豆と称するのが良いだろう。
アハ豆は1サヤに一粒が基本だが、稀に二粒入る場合がある。
アハ豆のサヤは時間が経つと茶色くなり、マメは豹紋状の斑点が現れる。
ゆで、焼き、揚げを試したが、茹でたアハ豆は甘味のないエンドウ豆という感じだ。
焼きもエンドウ豆の風味がする。
揚げはなぜだかインカのめざめのような甘味の強い味になる。
ヤブマメの地下豆であるアハ豆は揚げが一番美味い。
実験の結果乾燥したアハ豆からでも発芽することがわかったため、アハ豆も乾燥させて種子として利用できる。
アハ豆を乾燥させるとしぼむ個体と、ほとんどしぼまない個体がいることがわかった。
ヤブマメ以上に至るところでみられ、もはや雑草と呼べるレベルで繁茂するマメがカラスノエンドウである。
誰もが知っているマメのひとつだ。
なぜだか豆は杏仁豆腐の香りがするが、味は名前の通りエンドウに近い。
揚げると黒くなりやすいのが欠点だ。
杏仁豆腐の香りがするが、残念ながらにがりで豆腐にはならなかった。
さやえんどうスナックになるかと思ったが、潰して揚げても色が黒くなりやすい。
そしてつなぎに小麦粉を加えないと揚げた瞬間に崩壊して、粉砕されたマメがそのままバラバラに揚げられたものになる。
まぁ、香りは杏仁豆腐だが脂肪味が強く甘味もあり味はそこそこ良いというのがカラスノエンドウの評価ですね。
カラスノエンドウは豆がクズみたいに小さい雑草だがクズもマメ科だから仕方がない。
どちらかといえば葉も豆も見た目はヤブマメに近いか。
とはいえクズは葉が人の顔ほどにも大きくなる大型種なので豆もツルマメよりひとまわりも大きい。
つまり大して変わらんということだ。
ヤブマメ同様に豆が乾燥したり熟したりすると豹紋状の斑点が現れるため、比較的ヤブマメに近い種類のマメなのかもしれない。
クズのマメも食用になるがマメ科は基本的に毒草であり、多くのものは加熱することで毒性が無効化されて初めて食用にできる。
クズのマメは美味いが毒性を調べたわけではないので、詳しく判明するまでは自己責任で利用すると良い。
だがしかし揚げたクズ野郎は水分が完全に抜けてプラスチックになるので、クズ豆は揚げには向かない。
茹でたクズ野郎は熟度により味が変わる。
茶色く熟したものはホクホク感があり、インゲン豆に近い。緑色でまだ未熟なものは風味も甘味も強い枝豆である。
スープなどの具材には茶色くなったものを、茹でてそのまま食べるなら緑色のものがオススメだ。
クズ野郎は炒ると節分の豆の味になる、なんだかんだこれが一番美味いかもしれない。
クズの味は基本的にダイズに近い、そして完熟するとインゲンの味になる。
インゲンといえばササゲの仲間だが、ノササゲという野生ササゲが存在する。
野生ササゲとはいうものの、ノササゲはノササゲ属でありササゲ属ではない。
豆は茹でるとあんみつに入っている赤エンドウの風味があり、味も若干近い。
ただほんのわずかに苦味がある。
苦味といっても軽く味付けすれば消える程度のわずかな苦味である。
無理して食う必要はない。
ノササゲはサヤが明るい紫色で美しいが、同様に派手な色をしたマメがある。
それがトキリマメである。
よく似たものにタンキリマメがあるが、葉が違う以外はほとんど同じだ。
トキリマメのマメはノササゲよりも苦味が強く、毒抜きしなければ食用に値しないと考えてよい。
ここまで読んだあなたはハツエの呪いでマメが食べたくなり、そのうちマメになってモテるでしょう。
めでたしめでたし。