トマトの交配、品種改良のこれまで

トマトの交配、品種改良のこれまで
白寿トマト

ある日オレは面白いトマトを見つけたんだ、それが湘南ポモロン。

当時新しかった生食調理兼用品種だ、オレはそれをさっそく注文した。

が、届かない

届かない届かない

届かない届かない届かない届かない

問い合わせた所、色づいたら発送しますと返信がきた。

マジふざけんな。

先に連絡しろ。

ただオレは待った、慈悲深いからだ。

そして2年経てども発送されなかった。

そして思ったのだ。

「駆逐してやる!!!」

Seid ihr das Essen? Nein, wir sind der Jäger !!

(私はお前らのエサですか?いや、私はお前達を狩る者だ!!)

そう、こうして湘南ポモロンを駆逐するために俺のトマトの品種改良が始まったのだ。

だがしかし、湘南ポモロンは売れないということを理由になんかクラファンして失敗してた↓

https://academist-cf.com/projects/131?lang=ja

いいものを作っただけでは売れないとか言い訳してて笑うんだが、いいものだったとしても届かないなら売れないでしょ。

まぁ生産者選びに失敗したのか、そもそも品種の地力がなかったのか届かないから分からないけど。

それはともかく憎悪と恨みにより始まった俺のトマトはまず野生種の選抜から始まった。

これはlycopersicon cheesmanii

ガラパゴスアイランドトマトや多分イルディ、バリーズクレイジーなどがそれにあたる。

糖度が高い系統、塩害に強い系統、花がやたら多い系統などがある。

詳しく調べていないがイルディなどは花が多い系統のlycopersicon cheesmaniiだとオレは思っている。

まず背が低くとも咲く個体を選抜し、その中から味の良い個体を残し3年ほど選抜した。

次に利用したのはlycopersicon pimpinellifolium

これでトマトソースを作ると激ウマだというので旨味の強い個体を残すよう選抜した。

ただ、選抜した旨味の強い個体が自家受粉しない個体だった。

交配するなら自家受粉の心配が無いほうが楽だが次世代に影響しないかが問題だった。

だがしかし、ハイブリッドであるpimpinellifolium×cheesmaniiは問題なく自家受粉した。

葉がどれも特徴的なトマトで、果実の味わいはpimpinellifolium寄りだがある程度甘みを感じた。

この時点では実つきの良い個体を選抜し、さらに有名品種のアイコを交配した。

太く強い木に育ち味も良く、旨味も強いがやや酸味が強く最高糖度が8までにしかならないために旨味以外のレベルが並のミニトマトの域を出なかった。

ただ果実をつける能力が強く収穫量が凄まじい個体だった。

それをさらに交配したのは美味いと話題のフラガール。なぜなら酸味さえ少し抑えられれば最高の個体だったため、酸味の少ないフラガールに交配すれば丁度良さそうだったからだ。

が、フラガールは交雑した種がなかなか出来ず、まともな種は3つ。

そして発芽したのは1つ、その個体は遅霜で双葉にダメージを受けたせいかフラダンスしていた。

さすがフラガールの子ね!!

そんなこんなであちしのトマトはまさかの1本に全てを賭ける形になったが、こちらの心配をよそにすくすくと成長し2メートルを超えた。

そして果実が実ったのだ。

糖度9といえば十分甘いトマトのレベルになる。そして旨味も十分残した素晴らしい果実だ。

発芽苗の頃のダンスをするような姿と赤い果実から連想してコイツの名前はファイアダンスとなった。

ここから選抜し固定していけばさらに良いモノになるであろうポテンシャルを秘めた個体だった。

だが同時にちょっとイレギュラーな交配を試していた。

ヤフオクでlycopersicon peruvianumの種子の出品を見つけてしまったため同時に育成しており、ファイアダンスの父になった個体にperuvianumを掛け合せていたのだ。

しかしperuvianumは雌しべがジャガイモと同じく雄しべより飛び出ているなどジャガイモに近い種のトマトであり、

栽培トマトとの交雑はバイオテクノロジーでは可能だが、交配では不可能とされていた。

よく見ると根もジャガイモのストロンのようなものが混じり、根だけ見るとジャガイモに見えなくもない。

だだ、出来たのである。

果実は受粉し、種子も出来た。

ファイアダンスの父が他の野生種2種の遺伝を持っていたことが成功の要因かもしれない。

そしてこの個体は黄実であり、果実が色づくと落下するという栽培トマトにはない性質があった。

ただ落下直後の果実は硬くて少しトマチンによるエグみがあり、追熟2日しないと食べられる味にはならなかった。

未熟果の見た目もどことなくperuvianumに似ている。

色から連想してゴールデンボールと名付けた。

peruvianumを交配に利用した狙いとしては、peruvianumはジャガイモシストセンチュウの孵化を促進する成分を根から分泌するが、ジャガイモではないためジャガイモシストセンチュウが寄生できずに餓死するという現象が起こるという。

この性質を少しでも残せればジャガイモ園の線虫駆除にも利用できるかもしれないからだ。

そしてゴールデンボールに味の良いファイアダンスを交配したのが最新の系統。

糖度がほとんど9.9にしかならず、最高糖度が12.6である。

糖度9.9が平均であることから、99歳を意味する白寿となづけた。

甘味強く、ほどよく旨味もある激ウマミニトマトだ。

ここまでが俺のトマトの現状である。

実は白寿を大玉の贅沢トマトに交配した種子があるのだが、大きさがどちら寄りになるか分からないのでとりあえずはノーカウント

さて、駆逐すべき湘南ポモロンは自滅したが、他に駆逐すべきトマトはあるだろうか?

いや、全てを駆逐し世界征服を成し遂げなければならない。

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