イタリアンで重宝される高級食材のひとつにポルチーニがある。
日本でもよくヤマドリタケモドキがとれるが、このヤマドリタケモドキのことをポルチーニの偽物、ポルチーニほどではないが美味い
などの表現がよく見られる。
実はポルチーニとはヤマドリタケに近縁な4種のキノコの総称であり、その中でも日本でよくとれるヤマドリタケモドキやススケヤマドリの2種は上位にランク付けされる。
ホクトのサイトではススケヤマドリの栽培に成功した画像があるが、こうした経緯があってススケヤマドリを利用したのかもしれない。
そう、つまり日本のポルチーニは和製ポルチーニでもなんでもなくポルチーニであるということだ。
日本でもほとんどの地域でヤマドリタケモドキが見られるが、乾燥すればやはりポルチーニの強い香りが出る。
探し方はそこそこ明るくまばらに広葉樹が生えているところを6月末に探索すると良いだろう。
ヒントを上げれば肌の白い木についていることが多い。
ただ、大きく育ち不気味なために人により蹴飛ばされたり破壊されたりすることが多い。
僕は悪いスライムじゃないよ。
ヤマドリタケモドキは菌根菌であるため、腐生菌のように木を枯らすことはなく、木と共生関係にあるため
木のためにとこのキノコを破壊してきた人は重罪だ。
俺が世界征服したあかつきには海苔のゴミとりの刑に処す。
延々とチマチマ砂や虫をとる苦行だ。
採るサイズだが、乾燥保存する場合にはヒダのスポンジ部分が黒くなり魚の死体の香りがしないかぎり利用できる。
なんならイタリア産乾燥ポルチーニの多くはヒダがオリーブ色の末期のものが多い。
ただ、海外産のポルチーニもだがポルチーニの仲間は虫がつきやすく、大きくなればなるほど虫が多い。
そんなときにはビニール袋にいれ、口を閉じて数時間経つと画像のように酸欠になった虫が勝手に出てきて勝手に死ぬ。
よく水に漬ける人がいるが、その場合虫が出てくる前に死んでしまい出てこない、つまりスライスしながら一匹一匹取り除く必要がある。
1番良いのはとってすぐにビニールにいれ袋を閉じ、帰宅したら出ている虫を洗い流すというやり方だろう。
ただ、この場合には傘にゴミがついていたり、根元に土がついていると後で洗っても落ちないため、袋に入れる前にとってすぐに土のついた根元を切り落とし、傘についたゴミを払う必要がある。
どうしてもゴミが取れない場合には、冷凍してから水に流しながら爪でこそげ取るのが良いだろう。
販売品では安価なルーマニア産冷凍ポルチーニには虫やゴミが多いので注意だ。
キノコは発生環境により見た目が異なる場合があるが、ヤマドリタケモドキも同じだ。
この画像は雨がなく乾燥したためにひび割れたものだが、シイタケの天白どんこかメロンパンのようだ。
ただ、こうした乾燥した時期のキノコは虫がほとんどいない場合が多いため、見つけたらラッキーだ。
稀に束生してシメジのようになっている場合があり、こういった幼菌はほとんど大きく育つ前に萎びて消滅するため、早く取ってしまうと良い。
稀に岩に化けている場合もあるため、足に網目模樣がありヒダがスポンジ状であることを確認して採取しよう。
7月頭になると、ヤマドリタケモドキの発生地では3歩歩けばキノコに当たるくらいの量ヤマドリタケモドキが生えている。
そう、ヤマドリタケモドキは欧米では高級なポルチーニの1種だが、日本ではありふれた普通種なのだ。
この状態に出くわすと何故俺は3日前にここに来なかったのだろうと思う。
だがしかし注意がある、ポルチーニの仲間には似たようなキノコがいくつかあるのだ。
画像はムラサキヤマドリだが、これは茹でてポン酢や醤油で食べるとまるでトリ貝のようにコリコリして美味い。食べ方によってはポルチーニたちよりも美味いといえる。
和食にも合うしなにより間違えにくい毒々しい紫と黄色なので、初心者にも危険が少ない。
乾燥品はポルチーニの代用にされるが、稀に酷くこき下ろすような評価をする人がいる。
自分は他の人とは違うと表現したい中二病の人なのだろう。
欧米では傷つけて青く変色するキノコは食べてはいけないというが、そもそも青い。
変色するタイプにイロガワリの仲間があるが、この仲間はヌメリがあって美味いが毒性がある種類もいるため確実にわからない種類は取らないのが懸命である。
他にはコガネヤマドリというポルチーニの仲間を黄色くしたようなキノコがあるが、食えなくはないがパンの香りのキノコである。
俺は食べるが、あまり食べない方がよいだろう。
こんど焼いたらイチゴジャムかけてみようかな。
ポルチーニの仲間は乾燥すると香りが強くなるため、香りが目的の人は乾燥させて2ヶ月ほど置いておくと良い。
2週間以上は乾燥させ、晴れた日に袋にいれるとカビにくい。
ただ、乾燥しても孵化するタイプの微小な甲虫の卵が産み付けられている場合があるため、乾燥させたら一度冷凍すると良い。
冷凍すれば死滅するため孵化を防げる。
ポルチーニは他の菌根菌より培養が容易で、糖分を含まないデンプンの培地でも生育することから、デンプンを主に利用していると見られる。
発生条件がわからないが、培養を続けるとキノコの芽の原基が発生するため、これに酸素や光を与えるとキノコが育つのかもしれない。
これは寒天培地はポルチーニの内部の肉を培養したものだが、他は乾燥ポルチーニのヒダから採取したものなので、胞子からなる菌糸である。
ポルチーニ菌糸はヒラタケ菌糸のように勢いがあり、放射状に成長するため、雑菌と区別が付きやすいのも良い。
ただ、ヤマドリタケモドキの菌糸は海外産乾燥ポルチーニからの菌糸とは異なり、イボセイヨウショウロのように毛羽立ってうすく成長する。
おそらくデンプン分解能力が劣るため、糖分の添加がある程度必要なタイプなのかもしれない。
今年の目標は、お気に入りの狩り場のヤマドリタケモドキから菌糸をとり培養することかな。
ここのヤマドリタケモドキはすこぶる大きく5月〜7月、9月〜10月のヤマドリタケモドキの発生時期にもれなく発生してくれる。
ヤマドリタケモドキも料理はやはりイタリアンに向く。
ソテーして、ビーフコンソメとバター、塩こしょうで味付けするのが最も贅沢な食べ方だが、乾燥ヤマドリタケモドキを刻んでボロネーゼに入れるのも良い。
なにせミートソースパスタとボロネーゼの違いはポルチーニが入っていないのがミートソースで、ポルチーニが入っているのがボロネーゼだからだ。
つまり日本の多くのイタリアンではポルチーニを入れないため、日本のボロネーゼはほとんどがミートソーススパゲッティである。
まぁ、トマトソースでもクリームソースでもだいたいなんでも美味い。
グラタンでも美味い。
そんな感じで何にでも使えるが、ポルチーニは商業栽培は2022年現在はされていないため出回るのは100%野生キノコだ。
市販品も同様に虫に食われている場合が多いため、レストランのポルチーニにもよく虫の混入がある。
小さいし焼けば縮むため虫に気づく人はいないが、ポルチーニのパスタを店で食べるのが好きな人は100%虫ごと食ってる。笑
虫の混入を防ぎたければ自分でキノコをとり、虫出しをやるしかないのだ。