アケビ、それは野山のささやかなおやつ…
という時代は終わり、最近では山形県産だかがスーパーやデパートでも手に入る。
画像の個体もその種子から生まれたものだ。
結実まで5年を要した。
その中で最も優秀な個体で熟しても口が割れにくく、日照りが良ければ濃紫に色づく。
ただ、日陰の果実は色がつかないため、完全にポポーと見分けがつかない。
糖度は20度を超えるが、これはアケビとしては中の上。
何故かと言えば口が開かないため、乾燥することがないからだ。
厳密に言えば栽培種はミツバアケビであるが、野生のアケビは果実が開くため乾燥により味が濃縮される。
それだと果実が痛みやすく、虫にやられやすいため栽培には果実が開きにくい系統のミツバアケビを用いたのだろう。
アケビよりミツバアケビのが可食部が大きいのもミツバアケビにした理由に違いない。
ちなみにポポーとはバンレイシ科のフルーツで、糖度が30度にも達する。
アケビガキとも呼ばれるが、カキよりもカスタードクリームに似る、オーバーリースなどシトラスな香りをもつタイプもある。
デンプンを蓄えるタイプの果実であり、収穫から時間が経つとデンプンが酵素で糖化され糖度が高まる。
対して桃は追熟で糖度は変わらず、桃の場合にはペクチンが加水分解され水溶性ペクチンになる。
つまり追熟後の方が甘味を感じるのは糖度が上がったわけではなく、糖が果汁に溶け出し舌に感じ易くなるからということ。
最近、産直ECサイトなどで見たこともない品種名の平均糖度30以上!と書いてた桃を購入したところ、実際には糖度8〜15であり
問い合わせると決まった追熟の仕方をしないと糖度は上がらない、10日以上かかることもある。
とはぐらかされるが言うとおりやっても変わらず、そもそも桃の糖度は追熟ではほぼ上がらないため糖度30度詐欺なので注意だ。
糖度が上がったとしたら追熟ではなく乾燥して濃縮されただけであり、それならドライフルーツは糖度60以上に達する。
本当に桃の糖度が平均糖度30の農家であれば世界的ニュースになるだろう。
栽培法の本を出すだけで一生食っていける。
まぁ、とりあえずポポーに似たアケビはポポーと間違えてポポーと一緒に誰かに送ったりしないよう注意が必要だ。
ポポーだと思ってカットしたら中身が白くてビックリするだろう。
茸本さんなら野食ハンターだからきっと気づいたと信じてる。
次はこいつだ。
実をつけすぎて樹勢が弱くなると果実が水色になるのが面白い。
通常の果実はそこそこ大きく糖度が高い。
色が薄いがこれはこれで良い個体だ。
風味と味が良い。
こいつが一番残念な個体、
糖度は高いが熟す前に果実が開き、色がほとんどつかない。
口が開いたから熟したと思い食べてみると、まだまだデンプン質だったりする。
スーパーの果実からとった種子からの数株でこれ程の違いが出るのはまだまだ改良が進んでいない証拠。
一応アケビに近縁で果実に柿の風味があるムベをアケビに受粉してみたが、やや肥大するものの本格的な肥大が始まる前に落下する。
他にはツルではなく木になるアケビの近縁植物にブルーソーセージフルーツがあるが、これは交雑するだろうか?
いずれ試してみよう。
そしてアケビは若いツル先も食用になる。栽培していれば無限にでてくるので樹形を崩したくなければ出たら出ただけ収穫すると良い。
茹でこぼして灰汁を抜き、生卵、醤油、少しのめんつゆで和えて米にかけると美味い。
ほのかな苦味とコクが楽しめる野草だ。
茹でこぼしすぎると食感が無くなるので注意が必要だが、灰汁抜きが足りないと苦すぎる場合がある。
アケビはツル性だが、木質化が早く本質的には木の性質が強いため、硬くなってない物を採取すると良いだろう。
もうすぐ春ですね、ちょっと木とって食べませんか?